茶道で使われる茶碗には色々あります。
茶道はお点前など細かなルールに縛られたものに思われがちですが、本来は自由なものなので(これが難しい。難しい話はここではさておき)、こういう時にはこういうお茶碗を使わなくてはならない、というルールがあるわけではありません。
しかしながら、どんな道具を使うかは、亭主の客に対する気持ちの現れでもあるので、「この季節にこのお茶碗??」と思われるような季節ハズレのものを使用するのは望ましくないかも知れません。
わかりやすいのが、筒茶碗と平茶碗です。
こちらが筒茶碗です。その名のとおり、一般的な茶碗より高さが高く、筒のような形をしています。
こちらが平茶碗です。その名のとおり、一般的な茶碗より高さが低く、平たい形をしています。
筒茶碗は、筒状である分、お茶をより長く温かく保つのに適しており、つまりは冬の寒い時期によく使われます。
一方、平茶碗はその逆で、口が大きいぶん、お茶も冷めやすい。だから、夏の暑い時期に使われるのが一般的です。
ちなみに、水指も、夏には「平水指(ひらみずさし)」といって、同じように平たいものが使われることがあります。
平茶碗も平水指も、水そのものが見える(見えやすくなる)ことで視覚的にも涼しげな趣をもたらすからなんですよね。
夏と冬の違いといえば、「絞り茶巾(しぼりちゃきん)」というお点前にも現れています。
これは、通常は、水屋できちんと畳んで持ってくる茶巾を、あえて点前中に客の前で、絞って畳み直すというお点前の一種なのですが、寒い時期と暑い時期では少しやり方が変わります(詳細は割愛しますが・・)。
このように、季節にあった道具やお点前があることも、季節の移ろいを味わう茶道の楽しみの一つと言えます。