桜の時期がやってきました。
うかうかしているとあっという間に散ってしまう、その儚さが、はんなり可憐な桃色の花びらをより一層貴重なものに感じさせます。
日本人はほんとに桜が好きだな〜と毎年思いますが(笑)、すべては移りゆく、諸行無常感を感じさせるところが、日本人の細胞?を震わせるんじゃないかなと勝手に思っています。
ところで、たとえば絹を桜色に染めようとするとき、桜のどこからその色が取れるかご存じでしょうか。
もちろん、化学染料ではなく、草木染めの場合、という意味です。
人間国宝の志村ふくみさん(染色家・着物作家)がおっしゃっていました。
花びらから色は取れない。「花が咲く前の枝」から色は取り出される。
花が咲いているということは、もうその年の命をほぼ使ってしまっていて、あとは散るだけなんだと思います。
だから、そこから2次的に色はもう取れない。
志村先生は、草木染めはまさに「いのちをいただく」ことだとおっしゃっていました。
とすると、その植物のいのちをいただいて染めた絹で織られた着物は、まさに生命エネルギーを宿すお召し物ではないでしょうか。。。
そういうところが、やっぱり大量生産の化学製品とは異なると思うのですよね。。。。
とはいえ、志村先生のお着物は高すぎて買えませんが・・・
10年ほど前、NHKで志村先生のドキュメンタリーを見て感激し、その年のGWに、京都にある先生の工房で行われているワークショップに参加したことがあります。
4日間で、糸の染色したり、手動の機織り機で実際にランチョンマット(のようなもの)を制作しました。
すごく楽しい経験でした。
結構、いい感じにできたんですよね。そのマットが。。。。淡い色調の糸をたくさん使って。。。。
なんですが、数年前からそのマットが見当たらず(泣)。
引越しの際に、間違って何かと一緒に捨ててしまったのかもしれません・・・・無念。
とまあ、この時期になると、あのランチョンマットを思い出しつつ、近所の桜並木をお散歩し、諸行無常を感じるのでした。