千利休は、死後400年以上経っても今なお尊敬され、その生涯は何度も小説や映画になっています。
何より、利休の教えが、各流派の茶道家元に引き継がれ、「茶聖」として祀られ、今も多くの人が家元制度のもとで学んでいるのですから、その存在感は計り知れませんね。
そんな利休の教えとして、「利休七則(りきゅうしちそく)」と言われるものがあります。英語にするとより分かりやすいので英訳もつけてみます。
1 茶は服(ふく)のよきように
Make the tea good to drink.
2 炭は湯の沸くように
Lay the charcoal so that it boils the water.
3 夏は涼しく、冬は暖かに
In summer suggest coolness, in winter warmth.
4 花は野にあるように
Flowers should be as they are in the fields.
5 刻限は早めに
Be ahead of the appointed time.
6 降らずとも雨の用意
Be prepared for rain regardless.
7 相客に心せよ
Be considerate of the other guests.
以上の7つです。
3の「夏は涼しく、冬は暖かに」というのは、例えば、本ブログの他の記事でも紹介したように、夏には平茶碗を、冬には筒茶碗を使ったりすることがそうですね。
筒茶碗、平茶碗、茶巾絞り
4の「花は野にあるように」というのは、花は自然に入れなさい、ということですが、本来自然なものをできるだけ不自然にせず、茶室内でもっとも季節感を表す花を、生き物として尊ぶように扱いなさいという意味があるのかと思います。
その他の、美味しいお茶を点てなさい(1)、お湯がよく沸くように炭を扱いなさい(2)、時間にゆとりをもって、心にも余裕をもちなさい(5)、いつも雨に備えるように、どんな時も準備をすることで落ち着いて行動できるようにしなさい(6)、同席している客を敬い、心配りをしなさい(7)、これらは全て、当たり前といえば当たり前であり、茶道を念頭に書かれたものとはいえ、普段の生活のあらゆる場面でも通用する内容に思われます。
もっとも、当たり前のことだからと言って、必ずしも簡単にできるとは限りません。
この利休七則について、利休は弟子に「これらのすべてができるなら、私はあなたの弟子になりましょう」と言ったと言われています。
当たり前のことを当たり前にすることが、難しいのです。