先日、桂文枝の独演会に行ってまいりました。
写真は、大阪天満にある「天満天神繁昌亭」です。
2006年から営業していますが、当時は、半世紀ぶりに関西に落語専門の寄席が復活することになったきっかけの小屋であり、そこには桂文枝(当時は三枝)の功績が大きかったと言われています。
日本一長い商店街と言われる、天神橋筋商店街にあります。
・・・と天満天神繁昌亭の説明をさせていただきましたが、今回私が公演を見たのは東京有楽町ホールです。
日曜の15時半開演、会場は満席でした。
前座が終わり、いよいよ文枝師匠登場かと思いきや、まずは映像が流れます。
今年、文枝師匠が富士山に登頂したときの映像でした。
セリフは入っておらず、映像と音楽だけのもので、お付きの人が大勢随伴しているとはいえ、とっても辛そうなのが分かりました。
山頂での映像では、文枝師匠、泣いてましたね。
そしていよいよ師匠登場。
富士山に登頂したのは、芸能生活50周年ということで、所属する吉本興行から「どんなことしたい?」と聞かれたので、冗談半分に「富士山のてっぺんで落語をしたい」と言ったら実現してしまった企画らしいです。
事前にトレーニングもされたようですが、御歳74歳でやはり大変だったようで、途中でトレーナーからこれ以上は止めて下山した方がいいと提案されたそうです。
しかし、記者も大勢付いて来ているし(?)、途中で止めるわけにはいかないと何とか頑張って頂上に到達されました。
頂上までは5時間程度かかると予想していたところ、実際には10時間以上かかったらしいです。
そのために、頂上で予定していた「奉納落語」は、さわりの部分だけをちゃっちゃとやって終わるしかなく、下山されたそう。
で、今回の落語が「その時にするはずやった奉納落語なんですわ」とのことでした。
たまたま友人に声を掛けてもらって行ったのですが、いや〜、涙流して笑いました!
落語には、古典落語をやる落語家(桂文珍など)もいますが、桂文枝は「創作落語」の人です。
いわば、脚本、演出、演者、すべての役割をこなすアーティストですね。
今回、ただ「面白かった」というだけではなく「一流の芸」ってこういうことなんだろうな〜、という感動が大きかったです。
文枝師匠というと、司会なんかもやっていて、「タレント」というイメージも強いかも知れないけど、やっぱり、落語家!でした。
一人で何役もこなしながら、45分程度一人で話し続けるのです。そして、観客は何の違和感もなくその世界観に吸い込まれ、純粋に、笑ったり泣いたり、その時間を享受することができる。
客はただ「あ〜楽しかったね」とほっこりした気持ち、余韻を味わいながら家路に着く。
これは、まさに、「芸」という「もてなし」だと思います。
茶道も一種の芸事です。
私も、文枝師匠(?)とまではいかずとも、もっともっと精進したいと思います。