菊の花は、古来から不老長寿の薬として信じられ、重用の節句には菊酒で長寿を願ったとも言われ、歴史的に日本人の生活に深く関わりのあるお花です。
写真は、清澄紺菊(キヨスミコンギク)という菊の花です。
黒みを帯びた軸からよく枝分かれした先に、白地に薄紫の淡い色合いで、小さい花をたくさんつけてくれます。
なんとも可愛らしい、秋のお花です。
利休の教えといわれる「利休七則」のひとつに、
「花は野に咲くように」
というものがあります。
茶室に飾られる花は、作為的になりすぎず、自然に、野にあるように存在しているのが良い、という意味でしょうか。
お花は、必ず人の手により花入れに入れられて完成するので、これは意外に難しいことです。
もっとも、華美なものより、この菊の花のように、楚々としたものが、やはり茶室には合います。
今年は(今年も)夏が長く、いつになったら秋は来るのかしらと思っていましたので、こうして、ちゃんと季節の花に巡り合えるととても嬉しく、お稽古で皆さんに見ていただける機会がもてたことに感謝の念を感じます。