月を詠む

今年の中秋の名月は、皆さん、お月見されましたでしょうか?

私は、たまたま旅行中で、山口県の萩にいました。

その時の様子は、また別で記事にするかも(しないかも)知れませんが、萩に住んでいる時に習っていたお茶の先生に会いに行ってきたのでした。

さて、萩では、昼は猛暑だったのですが、夜にはとても味わい深いお月様を眺めることができました。

日本には、月が詠まれている和歌や俳句が本当に多いですが、日本人以外に、これほど月を愛でて歌にした民族は他にいるんでしょうか。

私自身、和歌も俳句も詠めませんが、いくつか好きな歌があって、月を見ているとそれらを思い出しますし、これぞ日本的美意識、と感じ入ります。

ということで、3つほど月を詠んだ歌を紹介したいと思いますが、まずはこれ。

他の記事でも紹介したことがありますが、「侘び茶の祖」といわれる村田珠光の言葉。

月も雲間のなきは嫌にて候

そうそう、煌々と輝く月もいいかも知れませんが、雲に見えたり隠れたりする、あの月が、あの月と雲の両方が、いいんですよねぇ。。

ほんと、珠光さんに深く頷きたくなります。

では次に、これは、以前たまたま五島美術館で見た、襖(か何か)に書かれていた和歌です。

作者は与謝野晶子です。

夏の夜の 鈍色の雲 押し上げて 白き孔雀の 月のぼりきぬ

ありありと情景が想像できて、とっても素敵な歌だと思いませんか?!

「鈍色」は「にびいろ」です。

そして、まさに萩で見た夜空がこの与謝野晶子の歌みたいだと感動し、撮った写真が上の写真なんですが、この写真じゃ下手すぎて伝わらないですかね・・・。

まあ、各自、歌から情景は想像くださいませ(笑)。

では最後の一句。

こちらの詠み手は「越智越人(おち えつじん)」という、江戸時代の俳諧師で、芭蕉十哲の一人と言われる方です。

雨の月 どこともなくに うす明かり

意味としては、「名月の夜空にあいにくの雨となったが、常の夜とは違い、どことなく薄明るく感じられる」という「雨月を愛でる心情」を歌ったものとのこと。

・・・これまた素敵ですよねぇ。。

雨で月は見えていないのかも知れません。

でも、いつもとは違う、湿った空気の中に月の光がうっすら届いている雰囲気が、なんとなく想像できると思いませんか?

繊細な自然現象に風流を見出す日本の美意識。

日本に生まれて良かったぁ・・・としみじみと感じながら、今年は、古都・萩にて名月を味わうことができたのでした(^ ^)

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