お茶の世界では、3月から4月にかけて、釣釜(つりがま)がよく使われます。
それまで炉に据え置かれていた大きな釜の代わりに、こうした小ぶりの釜を天井から鎖で吊るすのです。
釜の湯をより深いところで沸かすことができ、また、釜が小さいので使う炭火も少なくて済みます。つまり、気温が高くなるに連れ、お客様から火を遠ざける意味合いがあります。
また、釣釜ですから、釜がゆらゆらと揺れることもあります。
このゆらゆらは、春風の風情を感じさせます。
季節は移ろいますね。
5月には、炉は閉じられ、風炉の設いになります。釜は、もっとお客様から遠いところに置くことになります。