数寄者(すきしゃ)

数寄者(すきしゃ)という言葉があります。

数寄は、もとは「好き」のことで、芸道や風流を好む心のあり方を示した言葉でした。室町時代には、連歌や和歌を好む人のことを指しましたが、安土桃山時代に茶の湯が流行して、次第に茶の湯を意味するようになったようです。

ですから、数寄者というと、茶人や茶の湯を好む人ということになります。


近代数寄者と言われる有名な実業家たちがいます。

益田孝(鈍翁)ますだ たかし(どんおう)  1848〜1938年
三井財閥の創設者です。こんにち国宝や重要文化財に指定されるような、仏教美術や茶道具の名品を数多く収集し、それらを展観しながら多くの人を集めて茶会を開いたそうです。
近代数寄者の牽引車的存在と言われます。


根津 嘉一郎(青山)ねづ かいちろう(せいざん) 1860〜1940年
東武鉄道や南海鉄道(現:南海電気鉄道)など多くの鉄道事業に携わり「鉄道王」と言われている方です。
氏の収集した美術品や名物道具を所蔵するのが東京の青山にある根津美術館です。
http://www.nezu-muse.or.jp/


小林 一三(逸翁)こばやし いちぞう(いつおう) 1873〜1957年
京阪神急行(現:阪急電鉄)、阪急百貨店などを創業し、また、宝塚歌劇を創設した方です。
氏については、当ブログでも以前ご紹介しました。
http://julie-an.com/sukisha-ichizo/


五島 慶太(ごとう けいた)1882〜1959年
東急電鉄の創始者です。氏のコレクションを所蔵するのが、東京の上野毛にある五島美術館ですね。

こういった近代数寄者と言われる方々が茶の湯を趣味としたことで、茶の湯が一部の教養人やお金持ちのものというイメージができた部分はあるかも知れませんね。必ずしもそんなことはないのですが。。
もっとも、今も多くの古い美術工芸品が残り、私たちも美術館でそれらを鑑賞できるのは有難いことです。

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