毎年11月22日は、京都の大徳寺で開山忌が執り行われます。
「開山忌(かいざんき)」とは、その寺院を開いた僧の命日に行う法要儀式のことです。
大徳寺は、鎌倉時代末期に、大燈国師(だいとうこくし)の名で知られている臨済宗僧侶によって開基されました。
茶の湯と関わりの深い大徳寺ですので、その開山忌においてはやはり献茶式が行われるのですが、これを表千家、裏千家、武者小路千家の三千家が毎年持ち回りで担当しています。
献茶式とは、神仏やご先祖の霊に、お茶(抹茶)をお供えする儀式のことです。
今年の献茶式は表千家の担当で、私も開山忌の案内を受け取っていたので、事前に茶券を申し込んで参加してきました。
大徳寺はいつ行っても美しいですが、紅葉の時期はまたひときわ風情があります。
お茶券は、聚光院で行われる「拝服席」、瑞峯院で行われる「副席」、そして総見院での「そば席」がセットになっていました。
「拝服席」というのは、献茶式でお供えされたお茶のおすそ分けとして客に振舞われる茶席、という意味合いがあります。
献茶式(法要)は大徳寺の大きな法堂で10時から行われました。
そして、お茶席はどこから回ろうかなぁとちょっと考えましたが、とりあえず一服いただきたかったので、まずは聚光院より待ち時間が短そうな瑞峯院へ。
(こういうお茶会は、参加する人が多いと、お席に入るのに1時間くらい待たないといけないことも少なくないのです。)
予想通り、瑞峯院にはスムーズに入ることができ、一席15人程度のこじんまりとしたお席で、美味しく一服いただくことができました。
そして次に、聚光院かそば席に行っても良かったのですが、この日天気予報では午後から雨ということだったので、先に、ちょうど特別公開していた黄梅院と興臨院を見学することに。
ということで、黄梅院へ。
黄梅院の中は撮影不可なので、入り口付近の写真です。これだけでも素敵ですが、中はもっと素敵ですよ・・・。
そして次に興臨院へ。こちらも紅葉が綺麗でした。
曇り空ではありましたが、黄梅院と興臨院を満喫し、さて今回の本旨に立ち返り、次はそば席へ。
そば席ではその名のとおり、おそばと、湯葉揚げが振舞われました。
ちなみに、そば席が設けられた総見院は、羽柴(のちに豊臣)秀吉が、本能寺の変に倒れた織田信長の追善菩提のために建立した塔頭です。
ここで秀吉も茶会をして、そこに利休さんも
おそばをいただいた後、最後の聚光院へ。
聚光院内の茶室である閑隠席と枡床席が待合として設けられており、そこで1時間ほど待ったあと、茶室に続く書院にて、お茶をいただきました。
ところで、この拝服席が設けられた聚光院の書院には、千住博の「滝」の襖絵が納められています。
この日、千住さんの襖絵はさすがに設置されていないだろうなぁと思いながらお席入りしましたが、床の間の壁だけは千住さんの「滝」の絵になっていました!
印象的な青と白のモダンな絵を背景に、如心斎筆の箒画賛の掛け軸と、大ぶりな照り葉が活けられた花がとても粋な設えでした。
大徳寺と茶の湯の歴史は深く、脈々とその伝統が今も紡がれ、門人の我々もその末端にいるのかと思うと、不思議な感じもしますが、とりあえず、紅葉もお茶も楽しめて大満足の1日でした(^ ^)
(同門12月号より)